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「魔物の種類は?」
「うーんと確か、スコーピオンやリザードンみたいな共和国に居ない魔物ばかりだったかな。 どちらかと言えば、帝国に生息してる魔物っぽい?」
だとすると、この進行はただの魔物大行進じゃない。
十中八九、帝国の仕業だろう。
恐らく、通り道となる境界の防衛砦は既に……。
「戦場に人は居たか? 騎士とか冒険者とか」
「ううん、人は見かけなかったよ。 村に退却したんじゃないかな。 あっ、でも魔物の後方で黒ずくめの奴らを何人か見たかも。 なんだったんだろ、あれ。 魔物に指示を出してるようにも見えたけど、そんな事はあり得ないし」
一万の魔物を使役するだなんて、まず不可能だ。
もし本当に指示を出しているのだとしたら何らかのトリックはある筈だが、今の段階では知る方法も無いから後回しで良いだろう。
今すべきは他にある。
皆を守る事だ。
「エンドラ、お前は村の方へ行ってくれ。 そこにセニアっていう、刀を使う女剣士が居る。 そいつと共闘して、魔物を蹴散らすんだ」
「うん! がってん承知だよ、お兄ちゃん! おーし、お兄ちゃんにボコボコにされた鬱憤あいつらで晴らすぞー!」
あ、やっぱり気にしてたのね。
「クエエエエッ!」
「邪魔」
愚かにも俺を喰おうとしてきた巨大トンビに裏拳をかますと、トンビは隕石が如く落下し、魔物数十体を纏めて肉片へと変えた。
多少数を減らした筈だが、減っている気がしない。
折角空いた空間も、直ぐ様他の魔物で埋め尽くされてしまった。
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