本物の悪夢

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「あり得……ない…………鎧を、素手で……」  こんな紙装甲で俺の貫手を止められると思ったら、大間違いだ。 「アダマンタイト製の鎧でも装備してから出直してくるんだな、愚物が」  まあ、もう聞こえていないんだろうが。 「囲め、囲め!」  要塞に足を踏み入れると、待ち構えていた大勢の兵士が取り囲んできた。 「これ以上好きにさせるな! なんとしてもここでくい止めるんだ!」 「ハッ!」 「フッ、やれるものならやってみろ。 どうせ、無駄な足掻きだろうがな」  人数上では圧倒的不利にも関わらず、大胆不敵な笑みに浮かべる俺に、兵士の多くが飲み込まれる。  しかし、どれだけ強大な敵が相手だろうと、こいつらも軍人の端くれ。 「か……かかれー!」  死すらも厭わない覚悟で、襲いかかってきた。  その意気や良し。  ならば見せてやるとしよう。  本物の悪夢というものを。  
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