死んじゃった

1/2
前へ
/399ページ
次へ

死んじゃった

「ん……んん……ここは……」  重い目蓋を開いてみるとビックリ仰天。  目の前にはちゃぶ台。  足元にはなんにも無い真っ白な空間。  そして、 「やあおはよう、カズトくん。 お目覚めいかがかな?」  真っ正面には変な女が座っていた。  初対面の相手に変と思うのは失礼極まりないが、変なのだから仕方がない。  例えるならあれだ。  ギリシャ神話に出てくる女神、アフロディーテ。  どこかで見たような美麗なイラストそのままな人が、目の前で俺に微笑みかけてきている。   「おはようございます、お姉さん。 谷間見えてますよ」 「……ふふ、面白い子。 女神に対してセクハラするだなんて、恐いもの知らずなのかしら」  女神?  なるほど。 「つまり俺はあの時死んだ……そういう事ですね、女神様」 「説明を省けるのは大変助かるのだけれど、君……理解早すぎない? どういう脳の構造してるの?」 「いえ、最近よく見る光景なので。 主に深夜アニメで」 「だとしても自分の死を簡単に受け入れすぎでしょ。 普通もっと喚くわよ」 「そう言われても、死んじゃったもんは仕方ないですし」  なにやら女神様が呆然としていらっしゃるが、死んでしまった以上どうしようもない。  ここは流れに身を任せるのみ。 「んで、俺はこれから異世界に行けば良いんでしょうか? もし行くんならステータスマシマシでお願いしまっす! 次の人生は勝ち組コースで楽したいんで!」 「えっと……本当なら色々説明しなきゃならないんだけど、君には必要なさそう……かな。 じゃあ、まずは君の過去を見せて貰うね。 少しの間楽にしてて?」  女神様はそう呟くと、俺の額に手を当て、目を瞑った。  なんか額が暖かい。  と思ったら、 「う、ううう! ううううう……! カズトちゃん、君……今までとても苦労したのねぇ! お姉さんこういうのとっても弱いの! 涙腺崩壊しちゃうわ!」  いきなりめっちゃ泣き出したんですけど。
/399ページ

最初のコメントを投稿しよう!

211人が本棚に入れています
本棚に追加