いざ行かん、レオール学園

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「二人とも、リュート殿をよろしく頼んだぞ。 くれぐれも、彼を面倒事に巻き込まんようにな」 「はいはーい」 『ふんっ、貴様に言われるまでもない』 「リュート様、村の守りは僕らにお任せをください。 今度こそは必ず守り通すと約束します。 僕も、二度とあんな想いをしたくはありませんからね」  頷くとルークは敬礼して、順番待ちしていたシンシアに耳打ちをする。   「シンシアくん、例の件、わかっているね」 「はい、もちろんですぅ。 この後直ぐにでもぉ」 「ああ、よろしく頼む」  話を終えるとシンシアは俺に一礼し、屋敷へと一足先に戻っていった。  よし、これで準備は整ったな。  そろそろ発つとしよう。 「父さん、身体には気を付けてね。 時間があったら週末に帰るようにするから。 それじゃあ……行ってきます」 「ちゃんと栄養のある物食べるのよー!」 「道中気を付けてなー!」  こうして俺は、みんなに見守られながら初めて正式に実家から離れて王都に行くこととなった。  いざ行かん、レオール学園!  と、意気込んだものの、半日経ってもまだ馬車は森の中。  代わり映えしない景色にも、流石に飽きてきた。 「なあ、まだ着かないのかー? そろそろ尻が痛くなってきたんだけど」 「後少しだから我慢しなさい」 「へいへーい。 はあ……こんな事ならテレポートで行けばよかったなぁ。 なんなら今すぐ馬車ごとテレポートで跳ぶ? 王都の近くに人が立ち入らない森があってさ、そこなら……」 「人が立ち入らないってそれ、強い魔物が出るとかそういう所でしょ、どうせ。 んな所に転移させられるこっちの身になってくれない? あんたと違ってこっちは普通の人間なんだから」  お前らも十分人間離れしてきてると思うけど、そこまで嫌なら仕方ない。  リルでもモフモフして時間潰してようかな。
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