レオール学園入学式

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「先生方によると、アルヴィン様は昔手のつけられない不良筆頭だったらしいですよ。 毎日の喧嘩は当たり前。 女の子にちょっかいかけて停学になったりした事もあるんですって。 信じられませんよね」 「ははは!」 「うそー、あのアルヴィン様が? 信じられなーい」  やってそう。  ていうか、現在進行形でやってそう。   「でもそんなアルヴィン殿下も今では誰もが憧れる、騎士団長となりました。 しかしそれは、殿下が王族であるからではありません。 必死に学び、強くなり、友を()、他人を慈しむ心を育んだからに他なりません。 これは誰しもが得られる可能性のあるもの。 そしてそれは、ここ、レオール学園で手に入れる事が出来ます。 諦めない限り、未来は皆さんの手の中にあるんです。 その事を胸にどうか、この三年生過ごして貰いたい。 私はそう願っております」  パチパチパチパチ。  シュトレリカさんの演説が終わると、講道館中に拍手が巻き起こった。  こんな短い時間で大勢の人達の心を掴むその手腕。  些か恐ろしさを感じる。  シュトレリカ=ランブルディ、か。  世の中にはスゴい人もいるもんだ。 「悪くない演説だった。 ありがとう、シュトレリカくん。 ではここからは私、アルベルトが君達に激励を送ろうではないか。 ……良いかな、諸君。 学生の本分とは勉強である。 世の中には、勉強以外にも大切な事もあるとほざく輩が後を経たないが、それは全くの間違いだ! 学びなくして、未来はない! 知識が、実力が伴うからこそ、将来があるのだ! よって私が教頭である以上、君たちに半端は許さん! よいか! 一人一人の心持ちが、我が校の評判を左右するのだ! それをよく心に刻み込み、決して規律を乱すことのないよう模範となる行動を……!」  
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