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うわぁ、あの教頭、模範解答のような嫌な教師だな。
俺以外も同じ気持ちらしく、みな辟易しながら聞いている。
ダスティなんて早々に飽きて寝てしまった。
……よく寝れるな、こんな煩いのに。
心臓に毛が生えてそうだ。
と、ヨダレを垂らして爆睡しているダスティにジト目を向けていると、それは起こった。
────バンッ!
一体何事なのか。
突然、講道館の扉が開き、目付きの鋭い三つ編みの赤毛女が乱入してきたのである。
「つまらん! つまらん、つまらん、つまらん! 実に貴様の話はつまらんなあ、シューベルトよ! 貴様の話はどうしてそんなに退屈なのだ! 屁で茶が沸いてしまうぞ!」
「が……学園長、邪魔をしないでいただきたい! 今私は大事な話を学生に……!」
え?
あの人、学園長なの?
犯罪組織のボスとかじゃなくて?
「大事な話だぁ? んな話がガキどもに本気で届くと思ってんなら、一生てめえの言葉なんざ響いたりしねえだろうよ。 おら、どきな。 俺様が手本を見せてやるよ」
教頭を突き飛ばした学園長は台を叩くと、ニヤッと口角を上げて大声を張り上げる。
「よう、ガキども! つまんねぇ話を聞かせて悪かったな! ここからは学園長であるこの俺様が、ありがたぁい話を聞かせてやるから耳かっぽじってよく聞いてな! 俺様から言えることはただ一つ! 今しか出来ねえ事に必死になってみやがれ! これに尽きる!」
今しか出来ない事……。
「確かに勉強に時間を費やすのも悪くはねぇ。 将来の幅を広げるからな、損はねえよ。 だがな、学生時代っつーのは貴重なんだ。 たった三年だぜ? あと三年しかねぇんだ、てめえらがガキで居られる時間はよ。 だったらよ、今楽しまなきゃ勿体ねえだろ! ダチと遊びてえなら好きなだけ遊べ! 下らねえ話で盛り上がれ! 騎士になりてぇなら腕を磨け! 魔法師として活躍してぇなら魔法の研鑽をしろ! 学者になりてぇなら死に物狂いで学べ! なんでも良い、とにかく必死になって見せろ! 本気の奴には俺様がぜってぇ応えてやる! どんな舞台も用意してやる! このイシオス=ファルシオンがな!」
教育者とは思えない乱暴な言い方に、全ての生徒が呆気に取られる。
しかし、誰かが拍手をした瞬間、講道館は熱気に包まれた。
これが、レオール学園の学園長。
俺達の通う学園のトップ、イシオス=ファルシオン、か。
なんというカリスマなのだろう。
堂々とした佇まい、生徒と真摯に向き合う教育者の姿勢、圧倒的な存在感、言葉一つ一つに宿る想い。
そのどれもが俺に衝撃を与えた。
不覚にも、あんな指導者に将来なりたいと思わせる程に。
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