最小限の魔力、最低限の魔法

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最小限の魔力、最低限の魔法

「とりあえず言われるがままグラウンド来たけどよ、ここで何すんだっけ?」 「ちゃんと話聞いとけよ……クラス分けをする選定会? とかいうのをするから、グラウンドに用意されてる魔法試験場に向かえって言われたろ。 もう忘れたのか?」 「おお、そういえばそうだった! すっかり忘れてたぜ、はっはっは!」  ほんの数分前の事を忘れるとか、よく入学試験をパス出来たな、こいつ。  まあでも試験自体は中学生でも解けるレベルだったから、落ちる方がおかしいか。  それはそれとして、あれが魔法試験場だな。  グラウンドの中央に佇む二メートルほどのゴーレムを、試験官数人が囲んでいる。    鑑定。 「ヴァーラゴーレム。 ミスリルを含む事で魔法耐性を上げた対魔法師用のゴーレム、か」  ……なるほど、つまりあれに魔法をぶつけて壊すのが、この試験の内容なんだな。  思ったより楽勝そうだ。 「うおおっ、すげえ! 本物のヴァーラゴーレムじゃん! 初めて見たぜ!」 「あれ、そんな珍しいもんなの?」 「そりゃそうだろ、なんたって時価で金貨500枚はくだらない高級ゴーレムだからな。 レオール学園ぐらいの名門校じゃねえと、そうそうお目にかかれない代物だぞ」  え……? 「ちょっと待って。 試験の目的ってあれを壊す事じゃないのか? 俺はてっきり……」 「はあ? お前、何言ってんだ? んなもん……おっ、始まるみたいだぜ!」  どうやら早速クラス分け試験が開始されるらしく、一人目の生徒が魔法を放つ所だった。  
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