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「へっ、どうだ俺の魔法は! てめえら凡人とはちげえんだよ!」
「流石です、マーク様!」
「お見それしました!」
が、そこまで誉める程でもないと思う。
下手に誉めすぎると増長するからやめた方が良いんじゃないかな。
「次! フィオ=ノート! 前へ!」
「はい!」
「……ふむ、珍しいですね。 剣を用いての魔法ですか」
フィオは剣を構えると、刀身に魔力を流していく。
「行きますよ、イフリート。 いつもみたいに力を貸してください。 ……業火の憐憫、魁獄の腕! 破邪顕正を纒いし紅蓮の刃! 出でよ、魔法剣フラムベルジュ!」
そうして出来上がったのは、燃え盛る剣、フラムベルジュ。
ゲームなんかで有名な、あの魔法の剣である。
「魔法剣!? 何者だよ、あいつ! なんであんな高度な魔法なんか……!」
「噂には聞いたことあるけど、実物は初めて見た……」
「はああっ!」
野次馬が騒ぎ立てるも、集中して誰の声も耳に入っていないフィオは、ただゴーレムのみを見据えフランベルジュの一撃をお見舞いする。
「マジかよ……ゴーレムに傷を付けやがった……」
やるな、誰も傷つけられなかったゴーレムに斬り傷を残したか。
だが、アリンに比べたらまだまだ。
あいつの刻印剣なら間違いなく、ゴーレムを一刀両断していただろう。
なにせあいつは俺が鍛えた、アルヴィン様をも越える逸材だからな。
そのくらいアリンならお茶の子さいさいだ。
「ふぅ……」
「お見事でした、フィオ=ノート」
「ありがとうございました」
フィオはお辞儀をすると、こっちに向かって歩いてきた。
「どうでしたか、リュート。 わたしの剣は」
「良かったんじゃないか? アリンには程遠いけど」
「は、はは……そうですか……」
「……チッ」
ん……?
舌打ちが聞こえてきた方角を見ると、マークがフィオを睨んでいた。
こりゃあ余計な不興を買っちまったかな。
何も起こらなきゃ良いが。
「んじゃ、俺も行ってくるわ! 見てろよ、リュート! 活躍してくっからよ!」
「はいよ」
適当に返事をしてやると、ダスティはサムズアップしてゴーレムの元へと走っていった。
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