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「あの方はお友達ですか?」
「うん、まあね。 さっき知り合った」
「さっき……なんというか、リュートは人付き合いが上手くて羨ましいです。 わたしはその、人付き合いがどうも苦手で」
そんな感じはする。
距離感もちょっとおかしい時あるし。
「なあ、あいつってもしかして将軍の息子っていうダスティじゃね?」
「ほんとだ。 レオールに入学してたのか、知らなかったわ」
ダスティって、将軍の息子だったのか。
俺も知らなかったな。
まあまだ知り合ったばっかりだし、わざわざ教える義理はないか。
教えてくれるまで知らん振りしておこう。
「おっしゃ、やってやるぜ! さっさとてめえはぶっ倒れてろよ、木偶の坊! これが俺の固有魔法……!」
おおっ、固有魔法!
この世界にはそんなのもあるのか!
「グランドスラム! どらあっ!」
「ッ! ゴーレムにヒビが!」
「今何が起きたんだ!? ダスティがゴーレムを殴った瞬間、亀裂が入ったぞ!」
「あれって本当に魔法なのか? 殴っただけにしか見えなかったけど」
普通に観察していたら、確かに殴ったようにしか見えない。
しかし、ステータスがカンストしている俺には、ダスティが何をしたのか手に取るようにわかる。
恐らくダスティは、二つの魔法を同時に放てるのだろう。
まず、あいつがしたのは魔力によるステータスの大幅強化。
そして次にやったのは、その強化された拳から放たれた威力と衝撃波を数倍に跳ね上がらせる、放出魔法。
ダスティはこの二つを同時に繰り出していた。
多分、あいつの固有魔法はグランドスラムじゃない。
グランドスラムはただの技名で、本当の名はダブルキャスト。
同時詠唱だと思われる。
しかも、肉弾戦に特化した魔法を組み合わせ、超至近距離を得意とする、特化型魔法。
それがダスティの魔法の正体だ。
あくまで推測に過ぎないが。
「そこまで! ダスティ=ストレングス、もう十分です。 下がりなさい」
「うっす! あざっした!」
まったく、フィオと良いダスティと良い、粒揃いだな、俺の友達は。
お陰で入学早々なかなか幸先が良いスタートが切れそうだ。
この二人と一緒に居れば、俺が目立つ事はそう……。
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