208人が本棚に入れています
本棚に追加
「次! リュート=ヴェルエスタ! 前へ!」
「やれやれ、やっと俺の番か。 それじゃ行ってくるよ、二人とも。 応援よろしく」
「気楽にやれよー! 無茶しなくて良いからな!」
「怪我だけはしないようにー!」
もちろん、無茶はしない。
壊さなくて良いのなら、存分に手を抜かせて貰うさ。
目指せ、中堅!
「よろしくお願いしまっす!」
「来ましたね、リュート=ヴェルエスタ。 学園長から貴方にはヴァーラゴーレムの最新型。 ミスリルゴーレムを使うよう、指示が下っております。 少しそこで待っていなさい」
「へ……?」
ヴァーラゴーレムが何処かに持ってかれたと思ったら、入れ替わりに水晶のゴーレムがやってきた。
「ミ……ミスリルゴーレム!? 冗談だろ……」
「あれに比べたらヴァーラゴーレムなんかオモチャ同然だぞ」
「学園長からの指示って、あいつ何者だよ」
「ごくり……こいつは見逃せねえ……」
めっちゃ注目されてるぅぅぅ!
なーにしてくれてんですか、学園長!
これじゃあ折角立てた、三年間ひっそりと学園生活を終える計画がパーじゃねえか!
「でもさ、あいつも俺らと同じ学生なんだろ? ならミスリルゴーレムを傷つけるなんて、土台無理じゃね?」
……お?
「だよな、俺もそう思う」
「ミスリルゴーレムって、魔力完全耐性持ちなんでしょ? なら絶対無理じゃん」
「なーんだ、期待して損したー」
これはもしや、チャンス到来では?
誰も彼もが無理だと思っているってことは、別に失敗してもなんら問題ないってことだよね。
ホッ、これならなんとかなりそうだ。
軽く炎魔法でもやっときゃ、後はなあなあになるだろ。
あー、よかったよかった。
最初のコメントを投稿しよう!