最小限の魔力、最低限の魔法

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「次! リュート=ヴェルエスタ! 前へ!」  「やれやれ、やっと俺の番か。 それじゃ行ってくるよ、二人とも。 応援よろしく」 「気楽にやれよー! 無茶しなくて良いからな!」 「怪我だけはしないようにー!」  もちろん、無茶はしない。  壊さなくて良いのなら、存分に手を抜かせて貰うさ。  目指せ、中堅! 「よろしくお願いしまっす!」 「来ましたね、リュート=ヴェルエスタ。 学園長から貴方にはヴァーラゴーレムの最新型。 ミスリルゴーレムを使うよう、指示が下っております。 少しそこで待っていなさい」 「へ……?」  ヴァーラゴーレムが何処かに持ってかれたと思ったら、入れ替わりに水晶のゴーレムがやってきた。 「ミ……ミスリルゴーレム!? 冗談だろ……」   「あれに比べたらヴァーラゴーレムなんかオモチャ同然だぞ」 「学園長からの指示って、あいつ何者だよ」 「ごくり……こいつは見逃せねえ……」  めっちゃ注目されてるぅぅぅ!  なーにしてくれてんですか、学園長!  これじゃあ折角立てた、三年間ひっそりと学園生活を終える計画がパーじゃねえか!   「でもさ、あいつも俺らと同じ学生なんだろ? ならミスリルゴーレムを傷つけるなんて、土台無理じゃね?」  ……お? 「だよな、俺もそう思う」 「ミスリルゴーレムって、魔力完全耐性持ちなんでしょ? なら絶対無理じゃん」 「なーんだ、期待して損したー」  これはもしや、チャンス到来では?  誰も彼もが無理だと思っているってことは、別に失敗してもなんら問題ないってことだよね。  ホッ、これならなんとかなりそうだ。  軽く炎魔法でもやっときゃ、後はなあなあになるだろ。  あー、よかったよかった。
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