ハンカチに込められた意味

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 と、突っ込んだのがいけなかった。  ツッコミが聞こえてしまったのか、マークは俺を睨むと胸ぐらを掴んで、こう吠える。 「特にムカつくのはてめえだ、ヴェルエスタのガキ! 俺様が取る筈だった首席を奪いやがって! てめえだけは許せねえ! 辺境に追いやられた伯爵家風情が、舐めた真似してんじゃねえぞ!」     「そんなに首席になりたかったの? ごめん、悪かったよ。 横取りしちゃって。 あっ、でも一応言っとくけど、俺は別に首席の座なんか微塵も興味無いからな? むしろこれ以上目立ちたくもないから、首席なんか願い下げっていうか、譲れるんならいつても譲ってやりたいっていうか……」 「「「「っ!?」」」」  なに?  どうしたのさ、皆。  そんな固まっちゃって。  俺、変な事言ったか? 「あのアホ、そりゃ逆効果ってもんだぜ……」 「リュートは煽りのセンスもピカイチなんですね。 勉強になります」  煽ってないが。 「どこまでも……どこまでも舐め腐りやがって! この糞野郎が!」 「……!」  マークが俺を突き飛ばした次の瞬間。  顔に白い布が当たった。   「なんだこれ、ハンカチ?」 「リュート、待て! それを拾うな! それは……!」 「え? もう拾っちゃったけど」 「く……くくく……ははははははは!」  ハンカチを拾うと、いきなりマークが笑い始めた。  それに呆然としていると、ダスティがこんな事を……。 「このバカタレ! 叩きつけられたハンカチを拾う行為はな! 決闘を受けるって合図なんだよ! つまり……!」  マジか。
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