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強すぎるが故の弊害
「フレイムランス!」
「ぐおおおおお!」
爆炎を槍の形に象った魔法、フレイムランスをミノタウロスへ発射すると、ミノタウロスは装備していた大斧を残し、一瞬にして灰塵へと帰した。
俺はその斧も片手間に焼却。
ここにミノタウロスが居た証拠の一切を消し、洞窟の外に出る。
『お疲れ様です、主殿。 此度も素晴らしい働きでした』
「リルも見張りお疲れ様。 誰も来なかった?」
『はい、虫一匹とて近寄ってはおりません。 流石は主殿特製の結界ですな。 これだけ人里が近いにも関わらず、誰一人異変に気付いておりませんぞ』
一応魔力探知で周囲を探査してみたが、人間らしき存在は探知出来なかった。
今回もなんとか秘密裏に事を進められたようでなによりだ。
「よし、なら次に行くぞ。 ついてこい」
『御意』
先程行った魔力探知に引っ掛かった魔力の塊へと、俺はリルを引き連れ歩んでいく。
無駄口を一切挟まない俺にリルは黙々とついてきていたが、ふと、こんな質問を投げ掛けてきた。
『ところで、主殿。 主殿はいつまでこのような事を繰り返すおつもりで? 心中はお察ししますが、これではいつか過労で……』
「いい加減くどいぞ、リル。 同じ事を何度も何度も。 それともなにか? お前は俺のやることに何か文句でもあるのか?」
『いえ、滅相もございません! 出過ぎた真似をしました、お許しください』
リルが俺の心配をしているのはわかっている。
だが、対抗策が整うまでは手を抜くつもりはない。
こうなったのは、全部俺のせいなんだから。
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