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「……んだよ、今の」
「全然見えなかった……」
そこまでの魔法じゃないんだけどな。
速さだけなら音速を越える魔法もあるし。
「その様子じゃ、もう戦えないだろ。 降参するか? 俺は別に無茶な要求するつもりなんかないから、安心して降参しても……」
「降参……? てめえは俺に降参しろってのか……オルガ家の跡取りである、この俺様に! ざっけんな!」
これは驚きだ。
先程まで身体を震えさせていたのに、大貴族としてのプライドがそうさせているのか、今では身体の震えを抑え、戦意を迸らせている。
まだまだやる気のようだ。
しかし、ホームルームまでの時間はあまり無い。
マークには悪いが、ここらで……。
「そうか、ならこれで……終わらせる!」
と、言った刹那。
俺は十メートル近くの距離を一瞬で移動。
「……ッ!?」
マークが目の前までいつの間にか迫ってきていた俺に気付いたのも束の間。
「ふんっ!」
「かはっ!」
無防備な腹にボディーブローを喰らったマークは悲鳴を上げる間もなく白目を剥いた。
後に残ったのはいつもの如く、割れた地面と直線上を貫いた衝撃波により巻き上げられた粉塵。
そして、余りの実力差に声を上げる事も忘れてしまった野次馬の姿だった。
…………なにしてんだ、俺……。
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