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「は、初めまして皆さん! 本年度より教師として勤める事になりました、シンシアと申します! 色々と至らぬ所があるとは思いますが、よろしくお願いしますぅ~!」
他人の空似かと思ったけど、やっぱりシンシアじゃねえか!
何してんだ、あいつ。
屋敷に残してきた筈だろ。
「よろしくお願いしまーす」
「シンシア先生、めっちゃ可愛くね? タイプだわ」
「恋人とか居るんかな? 居なかったら俺、立候補しちゃおっかな」
シンシアだけはやめとけ、男子諸君。
一見清楚そうに見えるが、その正体は秘密組織で斥候兼暗殺者を務めるほどの強者で、巻き込んだ人間を事故死させる最強のドジっ子属性反社危険人物だぞ。
巻き込まれて死にたくなかったら、そいつにだけは手を出さない方が良い。
俺なら絶対に手を出さない。
「では点呼を取りますので、呼ばれた方は返事を……」
「はーい、せんせー! せんせーって恋人とか居るんですかあ?」
「ええ!? なんです、急に!?」
「俺も気になりまーす! どうなんですか、せんせー!」
やいのやいのと美人教師にプライベートな質問をぶつける男子どもに、クラスの女子が辛辣な言葉を述べる。
「ホント男って……」
「頭悪すぎ」
「マジでキモい」
「それに比べて、ヴェルエスタくんは違うよねぇ」
……ん?
「常に冷静っていうかさ、大人だよねー」
「確かに! 付き合うならああいう人が良いよね!」
「わかる~!」
「……だってさ、ヴェルちん。 いよっ、モテモテだねぇ。 羨ましいね、このこの!」
鬱陶しい……。
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