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「やめろよ、ウザい。 肘でつついてくんな。 そんでお前らもそこまでにしとけ、先生が困ってるだろ」
「お、おう」
「わりぃ、調子に乗りすぎちまった」
「きゃー! ヴェルエスタくん、かっこいー!」
「わたしもあんな風に流し目で怒られたい……」
ダメだこいつら、早くなんとかしないと。
「あのその、リュ……ヴェルエスタさ……くん。 ありがとうござ……ありがとね? 先生助かっちゃった」
頭痛くなってきた……。
「えっと、次は……ナギサ=ホークエルさん」
「はーい」
出会い頭から人懐っこいお隣さんは、ナギサというらしい。
快活な彼女にお似合いな名前だ。
「ホークエルさんも皆と同じく簡単に自己紹介お願いね?」
「はい! わたしの名前はナギサ=ホークエル! ド田舎のファムファタ村から来た、ド平民です! 特技はマラソン! 得意な魔法は治癒魔法! 好きな食べ物はステーキ! 将来の夢は、沢山の人を救える治癒師になること! みんな、これから三年間よろしくね!」
自己紹介が終わり座ると、方々から拍手が送られた。
ナギサはとても満足そうに、どや顔を向けてきている。
「……なんだよ」
「んーん、なんでもー? 次の人はどんな面白い自己紹介してくれるのかとても楽しみだなぁ、なんて思ってないよ? ぷーくすくす!」
こいつ、ほんま……。
「ホークエルさん、ありがとうございましたぁ。 では次に、リュート=ヴェルエスタくん。 よろしくお願いしますぅ」
「はい」
「おっ、次はヴェルエスタの番か。 どんな自己紹介が飛び出すのか、楽しみだな」
「俺らの首席様だぜ? きっとあっと驚く自己紹介をしてくれるに違いねえよ」
ハードルがガンガン上がる!
「あー……皆も知っての通り、俺の名前はリュート=ヴェルエスタ。 ヴェルエスタ領を治める剣聖、アンドリュー=ヴェルエスタ伯爵の息子だ」
「アンドリュー様って、国を魔族の手から救ったあのアンドリュー様……?」
「どおりで……」
父さん、意外と凄いことしてた。
剣聖の二つ名は伊達じゃない。
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