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魔力操作
「えー、皆さんもご存じの通り、我々人間は魔力を保有する事は出来ても自由に魔力を操作する事は出来ません。 それは何故でしょう、ミスブロッケン」
「はい。 その理由は、わたくし達人間には魔力を保有する器官はあれど、魔族と違い角や鱗などの体外に放出した魔力を操作する部位が備わっていないからです。 ですので人類は言葉を媒介に魔力を体外へ放出し、魔法を形成する技術を生み出さなければならなかった。 これが魔族で言うところの魔力操作です」
「ブラボー。 素晴らしい解説でした、ミスブロッケン。 よく勉強してますね」
魔法科講師に褒められたカンナは、得意気に「ふふん」と鼻を鳴らす。
鋭い目付きとは裏腹に、お茶目な性格みたいだ。
「今聞いたように、我々人間は詠唱なくして魔法を発動させる事は基本的に出来ません。 何故なら人類は、魔力を体外に放出した魔力を操作する能力を有していないからです。 時折、無詠唱で魔法を発動させる者も現れますが、それは特例中の特例。 天才と言われる者達だけです。 リュート=ヴェルエスタくんみたいな、ね」
なんですか、その期待の眼差しは。
やめてください。
この三年間は普通の学生を味わうつもりなので、あんまり期待されても困ります。
「ですので皆さんは、無詠唱に憧れを抱かないように。 でなければ無駄な時間を費やす羽目に……」
「ごめんなさーい、せんせー。 話戻して貰っても良いですかー?」
「……こほん、そうですね。 では皆さん、教科書を捲り、種族間における属性魔法の差のページへ……」
隣を見ると、ナギサがピースをしながらヘラヘラ笑っていた。
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