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「悪い、助かった」
「良いってことよー。 ほらほら、授業に集中しないと。 聞き逃しちゃうよ?」
おっと、そうだった。
集中しないと。
どうやら今は、種族間における適正魔法の差や特徴を説明している途中のようだ。
捲ったページには、人間、魔族、エルフ、ドワーフ、妖精族と円が描かれており、それぞれに適正属性と特徴が記されている。
「全部説明すると日が暮れてしまうので、今日は期末テストの範囲である人間の適正属性と特徴だけ説明しておきます。 我々人間は闇属性以外の魔法は満遍なく使えますが……」
俺、闇魔法も使えちゃうんですけど。
これは言わない方が良さげ?
「残念な事に、他の種族に比べると突出した属性はありません。 平均的に火、水、土、風魔法を使える弊害だと考えられています。 ですが人間には他の種族では扱えない光属性の魔法を扱える素養があり、闇属性特化の魔族にとってこれ以上厄介な属性はありません。 ですので魔族にとって人間は天敵で……」
とどのつまり、ゲームでよくある属性間の有利不利ってやつか。
全然意識したことなかったな。
流石は学園、勉強になる。
「なら魔族と戦う時は光属性の魔法が有利なのかな?」
「だな、覚えておいて損は無いと思うぞ。 だからといって、他の属性を疎かにして良い理由にはならないけどな。 敵は魔族だけだとは限らないんだから」
それこそ人間とか。
むしろ経験上、人間相手の方が多いまである。
「はーい、わかってまーす。 ぶーぶー」
豚かな。
「おいーっす」
「ヴェルエスタ、今ちょっと良いかな?」
「ん……?」
授業が終わった途端、男子二人が話しかけてきた。
ニット帽を被った男子に、茶髪のイケメン。
こいつらは確か……。
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