214人が本棚に入れています
本棚に追加
『……ですが、わたくしは心配なのです。 あのグリフォンが襲来した件から、およそ六年。 ご自身の体質を知ってからというもの、殆んど毎日魔物の駆除をしているではありませんか。 このままではお体を壊してしまいます。 ご友人やご家族を守りたいお気持ちも理解出来ますが、どうかご自身のお身体もご自愛下されば、と思う次第でして』
「リル…………すまん、さっきは言い過ぎた。 俺を心配して言ってくれたのに冷たくあしらって悪かった」
『主殿! では!』
「……けど。 けど、今は手を止める訳にはいかない。 ここで休んだら、今までの苦労が水の泡になる。 それだけは容認出来ない。 だからせめて、村のギルドに上級冒険者が移籍してくるまではやらせてくれ。 頼む」
苦悶が籠った声を聞き届けたリルは一瞬戸惑ったが、最後には肯首してくれた。
『承知しました。 そこまで仰るのならわたしはもう何も言いません。 存分にお力を振るいください』
「ありがとう、リル。 じゃあまずは雑魚を蹴散らそう。 行くぞ」
『ハッ!』
何故こんな事になってしまったのか。
何故秘密裏に魔物を狩っているのか。
それは今から六年前。
グリフォンを倒した一週間後まで遡る。
最初のコメントを投稿しよう!