強すぎるが故の弊害

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 あの頃の俺は呑気なものだった。  魔力が高すぎるが故に魔物を引き寄せてしまう、いわば魔物誘引フェロモンを常時撒き散らしてしまう体質だったなどとは夢にも思わなかった俺は、呑気に毎日毎日、アリン達と遊び呆けていた。 「父さーん、どこー? どこに居るの、父さ……」  その日も俺は遊びに行こうと、お付きメイドのシンシアを連れて、父の居る書斎へ向かった。  しかしそこで、俺は聞いてしまったのだ。 「アンドリュー様、報告いたします!」 「続けてくれ」 「はっ! 斥候によると、前日より大型の魔物がさらに二体増加したとのことです! 他にも小型がおよそ百、中型十体は確実との報告がありました!」 「そうか……わかった、引き続き頼む」 「ハッ! 失礼致します!」  父さんが、騎士達が、冒険者達が、自分が引き寄せてしまった魔物に、痛手を負わされたという話を。  最初はもちろん、自分のせいだなんて思いもしなかった。  だが、それから数日後。  俺はふとグリフォンの生態が気になり、図書室で魔物図鑑を引いてみた。  すると図鑑には驚きの生態が記されていたのである。   「グリフォンは…………岩山に住む、魔物……?」  そう、生息地は岩山であって、山間ではなかったのだ。  ならどうしてグリフォンは山に居たんだろう。  当然ながら、俺はその疑問に行き着いた。  そして、隣で丸まって寝ているリルを見ながらこうも思った。 「そういえばリルって元魔王の配下、なんだよな。 そんな大物がどうしてこんな田舎に……? そもそもなんで俺の前に……」  そこに思い至った瞬間、嫌な予感がした。  何故ならリルとグリフォンどちらも、最初から俺をターゲットにしていた気がしたからだ。  残念ながらその嫌な予感は、最悪な形で的中してしまう事となる。
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