罪悪感

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「……あたしもさ、あの子の気持ちがわからない訳じゃないのよ。 支えたいと思った人を支えるどころか逆に支えられて、更には毎日迷惑をかけてしまっている。 きっと屈辱的でしょうね、あたしだったら自分を許せないと思う。 自分以外があんたの支えになっている事実を目の当たりにしたら尚更、ね」 「…………」 「でも、だからこそあたしはあの子が許せないわ。 だってそうじゃない? リュートが罪悪感に苛まれてるのは誰のせいだと思ってんの? 全部自分のせいでしょうが。 それなのに迷惑だとか何様のつもりよ。 ふざけんなって話よ」  アリンがここまでリーリンに対して暴言を吐くなんて驚きだ。  初めて見た。  それだけアリン達が立てた誓いは重いという事か。   「……なあ、アリン。 俺はこれからリーリンとどう接していけば良いと思う? やっぱり少し距離を置くべきかな」 「さあ……どうかしらね。 そんなの、あたしにもわからないわよ」  結局のところ今回起きた問題の根本は、リーリンへの罪悪感により生じた過度な干渉と気遣い。  そして、俺に対する不満と姉と違って役に立つどころか足を引っ張っている自分への怒りと焦燥感が原因だ。  であれば、第三者であるアリンに尋ねるのがそもそもの間違い。  これは俺達二人が互いに答えを出さなければならない問題なのだ。 「……ごめん、そうだよな。 自分で考えなきゃだよな」 「ええ、そうね。 これは二人の問題だから、他でもないあんた達だけで決着をつけるしかない。 たとえどんな結果になってのしてもね。 ……ただ、敢えて言うとしたら」  アリンはそう言いながら、立ち去り際に俺の肩に手を添える。  そして最後にこう呟いた。 「結果はどうあれ、立てた誓いに背く事は絶対にない。 それだけは覚えておいて」  ────と。
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