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相談
「シンシア、これ今のうちに渡しとく。 後で精査しといてくれ」
「かしこまりました~、後程確認しておきますぅ。 ちなみにこれはやはり礼の……?」
周囲にはおめかししたメリルとオークレイ家のメイドが数人居るが、事情を知らない人に聞かれても大した支障はない。
問題ないだろう。
「ああ、礼の件に関する代物だ。 後は見ればわかる」
「なるほど~」
シンシアは納得すると、胸元の谷間に筒状に丸められた羊皮紙を収納する。
前から思ってたけど、シンシアの谷間はどうなってんだ。
あそこには暗器とかも入れてあるんだよな、確か。
なのになんであんな物までしまえるんだよ。
四次元ポケットか。
「リュート様、礼の件とは?」
「ん? ああ、なんでもないよ。 こっちの話」
「はぁ……」
腑に落ちない様子だが、無理に聞き出すつもりのようで、メリルはそれ以上突っ込んでこなかった。
にしても……。
「なあ、メリル。 本当にこれ着なきゃダメなのか? 俺こういう肩っ苦しいの苦手なんだけど」
「ダメです! 貴族足るもの、スーツの一つや二つ着こなしてください! これは貴族として当然の義務ですよ! 特に今日は公爵家の方とのお食事会なのですから、しっかりと正装していただかないと!」
そう言われても、嫌いなもんな嫌いなんだよ。
身体は動かしにくいし、ネクタイのせいで首元が若干締まってやや息苦しい。
さっさと解放されたいものだ。
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