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「だっ、旦那様! 奥様! その赤ん坊からお離れください! ご子息は普通ではございません! それこそかの魔王を彷彿とさせる……!」
なわけがなかった。
だって赤ん坊が飛んだんだぜ?
そりゃ騒ぐよ、魔王呼ばわりもされるよ、そりゃあ。
どうしよう、なんとか誤魔化さないと。
なんとか弁明を……って、ダメだ。
声なんか出したら余計に悪化する。
多分、創造魔法を使えばなんとかなりそうではあるが、やらない方が良い。
絶対良い方向には行かないから。
かといってこのままじゃ……うーん。
と、悩んでいた最中。
両親がこんな事を……。
「魔王……ですか。 ふふ、そんな訳ある筈がないじゃないですか。 ほら見てください、この寝顔。 ただの愛らしい子供にしか見えませんよ。 でしょう、アンドリュー」
「ああ、そうだな。 可愛い我が子だ。 魔王なんかじゃないよ、決して」
セーフ!
あれからおよそ二ヶ月。
なんとなく、この力の扱い方がわかってきた。
この創造魔法ってやつは、その名の通り、自分の思うがままに魔法……つまるところ現象を創造する魔法、みたいだ。
チートが過ぎませんか、女神様。
神業がごとき力なんですけど。
とはいえ、何でもかんでも出来る訳じゃない。
行使するには明確なイメージが大切だ。
浮くにしろ、風を操るにしろ、イメージがリアルな程効果が高まり、持続力も増す。
だからこの魔法でもっとも大事なのは、想像力と知識量。
これを鍛えれば鍛えるほど、創造魔法はドンドン強くなる。
現に今では小一時間程度なら、浮くだけに飽きたらず、
「待て、リュート! そろそろ休憩にしないか!? 父さんもう体力が……」
こうして父さんと追いかけっこする事が可能となるまでに成長した。
ちなみに俺の方が数倍早いから、父さんじゃ絶対に捕まえられない。
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