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「グルルルル……」
「くっ!」
あ、ダメっぽい。
二人とも腰が引けてる。
やっぱりかなり強いのか。
「……! アンドリュー!」
フェンリルが吐き出した氷のブレスを母さんは咄嗟に結界魔法で防ぐ。
が、明らかに向こうの魔力の方が高い。
あれでは耐えきれないだろう。
「ッ!」
案の定、結界が破壊されかけている。
仕方ない、手を貸すか。
えっと、魔力不足で強度が足りないんだから、結界に魔力を注ぎ込んで強度を増すイメージで。
「ばぶっ」
「……え?」
上手くいった上手くいった。
壊れる寸前だったバリアは瞬時に再生。
フェンリルのブレスを防ぎきる。
流石に防がれるとは思わなかったのか、フェンリルが一瞬怯んだ。
その隙を見逃さなかった父さんは、一気呵成に。
「うおおおおおっ!」
斬りかかる、が。
ガキンッ。
「な、なんという堅さ! これでは剣が通らん!」
フェンリルの身体に傷を一つとしてつける事叶わず、逆に体当たりでぶっ飛ばされてしまう始末。
「ぐあっ!」
「貴方!」
更にフェンリルは追い討ちをかけるべく、またブレスを……。
やれやれ、傍観はここまでかな。
いっちょやりますか。
「我々もここまでか……すまない、マリア、リュート。 守ってやれず……」
「ごめんなさい、リュート。 お母さん達の力が及ばないばかりに……」
なんか悲壮感にうちひしがれてるが、そんな必要はない。
何故ならこの程度のブレス、俺には驚異ですらないのだから。
「リュ……リュートちゃん……?」
「リュート……お前、なにを……」
「ばぶぅ」
母さんが作っていた結界を見よう見真似で作ってみたバリアを、目の前に展開。
先程のアレとは強度もカバー範囲も段違いのソレは、いとも簡単にフェンリルのブレスは妨害した。
「「………………」」
父さんと母さんが固まってしまったが、好都合。
口を挟まれない内に、決める!
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