赤ちゃんでも最強

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「あいだぶ!」  属性は火。  構築は空間。  範囲は円。  このイメージを元に魔法を生成。  最後に魔力をぶちこんで一丁上がり。  名付けて! 「ばーぶー!」  グランドカノン! 「ウオオオオオン! ……キャイイン…………」  初めこそは威嚇していたフェンリルだったが、天まで届きそうな火柱が周囲に幾つも吹き出した途端、豹変。  情けない鳴き声を上げながら、その場で踞ってしまった。  俺としては今ので消し炭にするつもりだったのだが、いかんせんグランドカノンは直接狙う魔法ではなく、相手の動きを逆手に取って焼き尽くすトラップ型の魔法。  まさか動かないとは思わなかったから、不発に終わってしまった。  なら……今度は直接当てる魔法を使うだけだ。 「ばぶぶ!」  属性は火。  構築は指向性。  範囲は点。  直線上の全てを灰塵にしろ!   「あーだーぶー!」  バレットレーザ…………! 『待て!』  ……ん?  今なんか頭の中に声が響いたような。  気のせいだろうか。  両親や遅れてやってきた近衛騎士らを見てみても、誰一人と口を開いていない。  やはり俺の気のせいか。  じゃあ続きを、と改めてバレットレーザーを発射しようとしたその時。  またしても、あの声が聞こえてきた。  真正面から。 『どうかこの通りだ、許してくれ! いや、許してください! 自分にはもう貴方様に逆らう気はございません! なのでどうか一つ温情を……!』  ……え?   今こいつ喋った?  魔物なのに?  どうやら本当にこいつが喋っているらしい。  しきりに、何とぞ何とぞと命乞いを繰り返している。  俺としても殺生はしないに越した事は無いから、このままお帰り頂きたいところなのだが、まだ言葉を発せない未熟児だから言葉による意志疎通は不可能。  ボディランゲージでなんとか伝われば良いのだが。
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