運命

2/3
前へ
/11ページ
次へ
 さて、何のお話かと申しますと――我が最愛の恋人、中将様がお越しにならないことに関してです。本日は、二日続いた逢瀬の翌日――即ち、今宵彼が無事に訪れてくだされば、三日連続での逢瀬が成立となるはずだったのですが……。  ところで、どうして三日連続の逢瀬がそれほど重要なのかと言うと――それが、当時代における夫婦の契りを結ぶ条件となっているからです。言い換えると、当条件を満たさない限り、私達は決して結ばれることはないということです。  なので、今宵こそはと胸の詰まる思いで中将様をお待ちしていた次第なのですが……果たして、今宵も叶わず仕舞い。そして、もうかれこれ三年もこのような数奇が続いていて。  ですが、数奇(それ)は決して彼に起因するものではありません。……そうですね、端的に申しますと――これが、私達の運命という他ないのでしょう。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加