お告げ

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 さて、日頃の行いに関する是非はともあれ――この悲痛たる命運が他に起因していることは、(まご)うことなき事実でして。というのも―― 『――非常に心苦しくはあるが……そなたは、現世にて決して愛する者とは結ばれぬ。何故なら――』  前世の業――ある夜、私の夢に現れなさった仏様から告げられたお言葉。私達人間は、前世の行いにより現世の――そして、現世の行いにより来世の自身が然るべき報いを受けることとなっています。  ですが、こと私に関しては些か事情が異なるようで。というのも、人間というものは幾度も転生(てんしょう)――即ち、生まれ変わりを経験することとなるのですが……どういう事情(わけ)か、私に関しては幾度の転生の中で最も業が深いと看做された後の世にのみ、それに応じた報いを受けることとなるようで。  そして、何とも数奇なことに……その最も業が深いと看做された世が前世――即ち、現世(いま)の私がその報いを一身に受けることとなるようで。……本当、怨んでも怨み切れませんよ、前世の私。  
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