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「……哀悼のお言葉、甚く感謝致します、中将様。まだ完全には癒えずとも、それでも少しずつ持ち直している次第です」
「……そう、ですか」
そっと微笑み答えると、なおも心配そうな――それでも、心持ち安堵したような表情で呟く中将様。彼も七条同様、長らく心を砕いてくれていたのでしょう。その暖かな思い遣り――そして、深い愛情に心がじんわり熱を帯びていくのを感じます。
「……あの、姫様。このような折に申し上げるべきか定かでないのですが……今宵、こうして結ばれることができました。尤も、私としてもその理由は定かでないのですが……きっと、互いを切に想う私達の愛情が、天にまします慈悲深き仏様に届いたのでしょう。今後は、生涯私が貴女を支えて参ります……姫様」
「……中将様」
そう、優しく私を包み込み真摯に告げる中将様。柔らかくも熱を帯びた声音からも、海にも優る深い愛情をひしひしと感じます。そんな彼の熱く暖かな腕の中、心地良い微睡へと沈んでいく私。その最中、ふと脳裏を過ったのは――
――どうやら、上手くいったようですね。
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