闇からの産声

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「おぎゃあ!おぎゃあ!」 「間違いないのですか?」 目の前で泣く女の赤ちゃんに20代の女性は隠しきれない程慌てた形相で医師と警官に問いただしていた。 「はい。間違いなくこの子は宮沢さんの弟でございます黒輝竜牙君と宮沢さんの娘の北原つばささんの子供です。DNAが一致しております」 医師は混乱する宮沢佳奈に落ち着いた様子で告げる。 泣き止みすやすや眠る赤ん坊……この子が自分の弟と娘の子供だなんて……。 薄々、黒輝家では同い年で叔父と姪の関係である竜牙とつばさの関係が近過ぎると自分も両親も思っていたがまさか子供が産まれるだなんて……。 しかし……赤ん坊が産まれるにしては時間がおかしい。 何故なら……竜牙もつばさも二年前に不審死を遂げた。 地元のニュースにもなったくらいだ。 それにこの子の様子から大体生後4、5ヶ月程だと医師も認めた。 そう有り得ないのだ。 死んだ後つばさがこの子を産んだなどという夢みたいな話しは。 この不審な点を鑑みて赤ちゃんの第一発見者という事もあり今回警察が動いたわけである。 「宮沢さん。混乱してるところ大変申し訳ありませんが我々もこの異常な件を解決するために情報が欲しいのです。もしかしたら竜牙君とつばささんは生きてる可能性もあります。今一度不審死を遂げた周辺の時系列を詳細にお話ください」 「はい……」 佳奈は二人が地元の心霊スポットで無惨に殺された事を再び話した。 当時警察も現場検証に立ち会い竜牙とつばさは同一犯による殺害と判断された。 決めてとなったのは二人の身体についていた犯人の指紋である。 不思議な事に指紋から人物を辿る事が出来ず事件の犯人はまだ掴まっていない。 「宮沢さん。お辛いところ教えていただきありがとうございます」 「いえそんな…すみません少し外の空気を吸いに」 佳奈は部屋から抜けた。 有り得ないどういう事だ。 何故『黒輝家』で処理し殺害しあの場所に放った二人が生きてるかもしれない……。 佳奈の唇が小刻みに震えた。
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