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背後からの声に、ブルークは体ごと振り返る。
そこに立っていたのは、黒髪に黒い瞳のかわいらしい容姿をした小柄な女性だった。
その表情は、ブルークの姿を見るなりみるみる引きつっていく。
それを無視するかのようにブルークは女性に歩み寄り、にこやかに笑って言った。
「よお、リア、久しぶり。元気だったか?」
が、リアと呼ばれた女性は、距離を取るかのように後ずさる。
「ちょ……、なんであんたがここにいるの?」
「なんでって、決まってるだろ? せっかく会いに来てやったのに」
「待って! あたしは別に、あんたに会いたいとは思ってないし!」
そんな両者のやり取りを見て、なにか思うところがあったのだろう。
薬局の店主は組んでいた腕を解き、おもむろに口を開いた。
「おや、本当に知り合いだったのかい。そうだリア、昼の休憩まだだったろう? 今から行ってくるといい」
どうせなら、お客さんと一緒に行っといで。
そう言うと、店主はブルークに会釈し店の中へ戻っていく。
「待ってください、店長! あたしは……」
「ありがとうございます! じゃ、リア、行こうか。オレ、ハラペコなんだよな。どこか美味いとこ教えてくれよ」
人好きのする笑顔を浮かべるブルーク。
リアはあきらめて、深々とため息をついた。
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