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店主は立ち上がると、背後の棚から一冊の本を取り出した。
背表紙には、薬局組合労働基準法と書いてある。
指先をなめながらページを繰り、店主はとある場所をリアに指し示した。
「リアは勤続一年半で、去年は全然消化してないから、丸々二十一日残ってるね。何日使う?」
「え、えーと……」
その言葉に、リアは困ったような表情を浮かべる。
店休日を足しても二十七日間、一月弱しかない。
果たしてそれで盗賊討伐か完遂できるだろうか。
「店長、実はですね……」
そこで、リアは昼間のブルークとのやり取りをかいつまんで店主に説明した。
店主はそれを難しい顔をして聞いていたが、再び何やらページを繰る。
「参ったなあ。これは古い法律だからなあ……。」
指し示されたところには、とある法律が記されている。
曰く、『魔物討伐に参加する場合は特別休暇が付与される』とのことだが、盗賊討伐に関することには言及されていない。
未だ魔物が跋扈していた時代の法律のため、今の世の中には対応していないのだ。
「……じゃあ、有給で間に合わなかったら、どうなります?」
「欠勤扱いになっちゃうねえ。そうすると、昇給や賞与に影響することになるなあ」
「……そうですか」
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