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「明日、僕、保育園に行くのだよね」和樹は真一にたずねた。
「そうだよ」和樹は庭から室内に向かって歩いた。真一は室内に戻って和樹が寝たのを確認してまた庭に戻った。
そこには芳江がいた。死んだはずの芳江が立っていた。真一は幽霊を見ているのかと思ってよく見た。
真一は走って妻のそばに行った。気が付いた時には芳江の目の前にいた。
「どこにいたんだ」真一は思わずそう声を出した。彼女は笑顔で立っていた。
芳江は生きていたのか。
「出張していたの」
「仕事で出かけていたの?」
「それもあるけど、いいじゃないの」。
「戻ってきたのだからいいけど」
「ありがとう」真一は言った。
「あなた、職場に電話をかけたらしいけど」
「確かにかけた」真一は少し興奮しているという自覚があった。
「出張ですって言っていなかった?」
「言っていたけど信じられなかったよ」
「私は生きています」
「生きていたのか」
「そういうこと言わないのよ」
「別人が殺されたのか?」
「何に関することを言っているのかわからないわよ」三人で室内に入った。
「誰が死んだのだ?」
「何言っているのよ」
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