疑惑

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「はい、そうです。初対面です」 「もしかして僕は犯人になるのですか?」 「いやなりません」 「ならないですか?」 「はい、なる訳はありません」 「そうですか」 「奥様は大変でしたね」 「僕は何か違法になって有罪になるのですか?」 「無罪ですよ」 「どうしてですか?」 「奥様は逃げていたのですよ」 「何ですか?」 「吉田から逃げていたのです」 「そうですか」 「奥様は吉田が逮捕されて安心するのではないのですか」 「そうかもしれません」真一は、「どうして芳江はその女に恐喝されていたのですか?」とたずねようとしたがやめてあいまいにうなずいた。  余計な一言が災いを招くのだ、と彼は思ったのであった。刑事はほんの少しの間黙ったがまた話しはじめた。 「小林弘子は吉田美代子を奥様とまちがえて殺害したらしいのです」 「何ですか?」 「実は小林弘子はあなたに気があるらしいのです」 「信じられません」 「小林弘子の共犯者の名前は三田栄一なのです」 「その人知らないです」 「それで勘違いしてしまいました」 「それで僕の家に来たのですか?」
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