疑惑

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 彼は深呼吸して考え事をやめた。しばらく他のことを考えて休んでいた。何か彼は自分が勘違いしているということを考えていた。そんなことをしていたらばかばかしくなってきた。気が付くと彼は寝ていた。  玄関のほうで音がしたが平気で一階の和室で寝ていた。  目覚めて気が付くとそこに芳江たちが帰ってきたらしく、妻と子供二人の三人が一階の和室にいた。彼は妻に声をかけた。 「今刑事さんが来たよ」 「何だって?」 「オレは無罪だって」     「当り前よ」 「そうか」 「あなたは何も悪いことしていないから」 「オレは犯人なのかと心配していたのだ」 「何の犯人なの?」 「何の犯人だろうな」 「妄想みたいなものじゃないの」 「そうかもしれない」真一は本気で悩んでいたことは妄想だったのかもしれないと自分をうたがっていた。  そういえば似たようなことを繰り返し考えていたなと彼は思い出して気が付かれないように一人で含み笑いをした。  芳江はそんな彼を見て言った。 「変な人ね」  仕事をして昼休みに弁当を食べながら同僚たちと談笑した。将棋の話をした。真一は言った。
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