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「将棋の駒も値段は高いからね」
「いいものは高い」
「うちらの作っている発電機も安くはないぞ」
「そうだな」
「いいものを作っているな」と真一は笑った。
「いいものっていいものだな」と同僚は言った。
「いいものを安く売られたらたまったものじゃないよ」
「バナナだって昔は高級品だったのが今では安くていいものになっているよ」
「誰が作っているのかは問題だな」
「児童労働とかの問題もあるらしいな」
昼休みを終えるとまた仕事を再開させた。
仕事から帰ると日は暮れていた。
「今日も無事過ごせたな」と彼は思った。真一は子供の顔を見て安心した。
今日も良い日だった、と彼はその日のことを思い出した。
「オレの兄貴を殺したな」とはっきりと聞こえた。これが幻聴というものだろうか? 彼にはわからなかった。近所の声だろうと彼は自分を安心させた。何故なら耳の鼓膜は振動して肉声を聞いた感覚はあったのだ。
「今の声はなんだ?」と秀に聞いた。
「近所の人の声だよ」と秀は答えてくれた。
真一は犯人ではなかった。犯人だとうたがわれたのでもなかった。そこに似た名前の容
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