疑惑

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 その日の夜自宅に刑事が来て玄関で話した。 「何でしょうか?」と真一は聞いた。 「もしかしたら、亡くなられたのは、あなたの奥様ではないです」 「何ですか?」 「虫歯の治療の跡などが違うのです」 「と言いますと?」 「虫歯の治療のあとだけではなく、遺体を検視したところ奥様と違うのです。あなたの奥様とは別人らしいのです」 「なるほど」 「奥様とは別人だということがはっきりとわかりました」 「では亡くなったのは誰ですか?」 「それはわからないのです」 「わからないのですか?」 「これ以上は個人情報保護法に触れますから言えません」  本当に芳江は生きているのだろうか、と真一は疑った。生きているなら自宅に帰って来るだろう、と真一は考えていた。  火曜日の朝、真一は目覚めると新聞を玄関ポストから取り出した。何か重大なことは書いていないような気はした。何も起こらない日なのか。それはよいことだなんて思い頬がゆるむのを真一は感じた。 「夢の中に黒い蛇さんが出てきた」和樹はそう話した。 「黒い蛇さんか?」真一は不思議に思った。真一も黒い蛇の夢を見たからだった。
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