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この会社に入ったのは、約5年前。5年前のあの日、私は恋をした。
「田中!この書類まとめといてくれない?」
「あ。俺のもいいかな?」
「あ、じゃあ、私のもお願いねぇ〜」
いつものことだけど、今日はとても悲しい。今日は、私の好きな人と他の人達で飲みに行くそうだ。
人に仕事を押し付けられるのは別になんとも思わないけど、好きな人にお願いされると悲しい。
「あ。でも。あのさ、田中。この仕事してもらっても良いかな?」
私の好きな佐藤理玖先輩に言われた。でも、断れない。ほんとは、一緒に私も行きたい。私は心でそう呟いた。
そんなことを思っていると、目の前で佐藤先輩の腕に抱きつく女がいた。私はとても悲しい。まるで、見せつけられてるみたいだった。私は急いで、机にむかう。
「じゃ。その仕事お願いなぁ」
上司がそう言うと、皆が出ていく。私は黙々と進める。
それからあっという間に時間がたち気づけば夜中の2時だった。私はまだまだ終わらない山積みの書類らを見てため息をつく。すると、廊下から声が聞こえてくる。
「てかさ、理久先輩大丈夫ですか〜?どこに携帯おいたかわかります?」
聞こえた声はこの会社のマドンナの美穂だった。美穂はさっきも私に見せつけるように理久先輩に抱きついたやつだ。
美穂と理久先輩が扉を開けて入ってくる。
「あ。まだやってたの?私ならすぐ終わるけどw」
美穂はいつもどおりのマウントを取りながら私をあざ笑う。
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