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周りからはクスクスと笑い声が上がり、私はとぼとぼと廊下へと出た。
はぁー…、さっむ!
11月の廊下はまるでここは北極なんじゃないかと疑う程に冷えきっていた。ポケットからカイロを取り出し両手でギュゥ…、と握る。
おっちょこちょい、天然、どっか抜けてる、能天気。友達から言われる私のイメージは大体こんな感じ。だから今みたいに廊下に立たされる事なんて日常茶飯事だった。
あ。そういえば…、と思い私は廊下の壁にぺたりともたれかかる。頭に過ぎる先程の夢…。全体的にぼんやりとしているけれど、男女が砂浜で結婚を約束している1場面だ。
やっぱり…、あれって私、なのかな?
小さい頃から時折見る夢だったけれど、最近になって、あれは”予知夢”なんじゃないか、と思い始めていた。
***
「今日は災難だったねぇー」
休み時間、友達の千里が廊下から戻ってきた私を見るなり子犬のように駆け寄ってきた。
ふわふわと揺れるお団子頭がトレードマークだ。140センチの低身長をそのお団子で少しでも高く見せたいらしい。
休みの日なんか厚底ばっかり履いてくる可愛らしい子だ。
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