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それからというもの、蜜月が続いた。
いつも昼休みに体育館裏で彼女とたわむれていた。
だれも来ないふたりだけの時間。
この時間を邪魔されたくないからおたがいにスマホの通知も切っていた。
付き合ってるのは内緒だから、デートとかには行けなかったけど。
それでも秘密という名のスパイスが俺たちの感情を昂らせた。
その感情は、恋なのか愛なのか分からないけれど、ただひとつ性欲がともなうのは分かる。
愛だとか恋だとか尊敬だとかは、性欲が先にあって恋愛として綺麗にストーリー仕立てにしているだけだ。
人間は、綺麗で賢い生き物だと、ほかの動物とはちがうと、自惚れているが、けっきょくはほかの動物とは大差なくてただ言葉を操ることはできるから綺麗に仕立てあげられた恋愛という概念で性欲だとか欲情だとかそうした本能的なものをオブラートに包んでいるに過ぎないのだ。
なんて考えていても、彼女のかわいらしい笑顔と艷めく桃色のちいさな唇、白くきめ細やかな素肌、猫のようなクリっとしたややつり目のおおきな瞳、目と目の間隔が狭くてちいさな顔、全体的に猫のような顔立ちをしている。
背がちいさく気が強いから、子猫のようでもある。
だから、怒っていても子猫がじゃれてきたようにしかおもえない。
『もー、髪長いから切りなよ』
付き合ってから彼女からそう怒られることが増えた。
髪が短いのは好きじゃないから、そのままにしていたが。
『髪長いと授業中邪魔にならん?ずっと気になってたのよ』
そういうものだから、ついおねだりをしてしまいたくなる。
『んー、じゃあ髪の毛結んでくれない?』
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