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「まあいいや。で?どうして今さら電話くれたんだ?あのままだってよかったのに」 『そういう訳にはいきません。まだ会話の途中でしたのに』 「悩みなら解決したよ。来週からは中学も行く。昨日親と担任とも話したし」 『そうでしたか』 安心したような柔らかいムーンの声に、俺は一人頷く。半端に途絶えてしまったムーンとの会話だったが、それでもその時間のおかげで色々わかった。 自分の情けなさと同時に、夢を叶えたいという自分の希望も。 「ちゃんと進学して、ちゃんと夢に向き合ってくる。向き合いたいんだ」 いつもよりさっぱりとした声が出た。 『いい声です。でも、何ヶ月も欠席しましたよね?勉強も頑張ってください』 そこを突かれるとちょっと痛い。昨日も担任から、各教科の補修スケジュール表を突きつけられたばかりだ。
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