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「ああ、ちょっと待ってください。感謝というならもう1人いました」 「まあ?誰でしょうか?お名前お聞きしても?」 彼は意味深に、通話する時のように片手を耳の側へ置き、笑顔になる。 「あるホットダイヤルに」 その言葉に会場中の人間の頭上に「?」が揃う。 「えっと……?そのホットダイヤルというのはNPO法人なんかが行っている、ホットラインのことでしょうか?」 「そんなとこです。なのでね、なにか悩んだり迷ったりしている人は、とりあえず人と話しをしてみてほしいです。話すことで頭が整理されますし、悩みが解決することもある。俺もそうでしたから」 いつの間にか真剣な顔つきになっていた彼は、目の前のカメラに訴えるように言った。 「あ……はい!ステキなお言葉をありがとうございました!それではこの後はお天気予報です!スタジオにお返ししまーす!」 場面が変わったニュース番組は、いつもの天気予報士が向こう一週間の快晴を伝えていた。 …………
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