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『格好悪いところ?まあ、そうでしょうね』 「ちょっとは否定しろよ。いやだから、あいつがこうやって俺なんかと一緒になってくれるなんてさ。なんて礼を言えば良いんだ?って悩んでて」 「それが今回のご相談内容でしょうか?』 「そうじゃないんだけど。あのさ......ムーンと最後に話した日あるだろ?あいつが授業のノートのコピーかかえてきてくれて」 『確かに来客があると言ってましたね』 「俺、その時に「好きだ」って告ったんだ。すぐにOKもらったんだけど……でもさ、もしかして頼りなくて危なっかしい俺のことが、ただ放っておけなかっただけなんじゃないかって。同情とか哀れみでそのまま今日まできたんじゃないか?って。今になって心配になってるんだよ」 言っていて気持ちが沈んできた。 タキシードでバッチリ決めておいて、何を情けないこと言ってるんだ俺は。でも、不安を吐き出す口は止まらない。
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