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「本当に......俺なんかで良かったのか?って……」 『では彼女にお聞きください』 「聞くの怖い」 『もう切ります』 「冷たいな今日」 俺がぼやくと、電話の向こうでムーンが小さく笑った。 『きっとそれは……はじめから両思いだっただけのこと』 「え?そうなの?」 『そう……』 ムーンは一瞬黙る。それから仕方ないやつだとばかりに息を吐く。 『月が兎に好きだと言われて。頷かないわけないでしょ』 「あ……」 心の中心に刺さった言葉に何も言えずにいると、その通話はあっさりと切られた。 かわりに背中に気配を感じる。振り返れば支度を終えた幼馴染が、スマホ片手に手を振っている。 「そういうこと」 「美月(みづき)......きれい」 「お待たせ」 幼馴染の婚約者。今日から妻になる美月(みづき)は着替えを終え、真っ白なドレス姿で微笑む。 女神かと見間違うくらいに神々しくて眩しくて、そして可愛い。
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