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『こちら満月ホットダイヤルです』
「あの、久しぶり。前に電話したんだけどつい切っちゃて……。って、俺のことわかる？」
『わかりますよ、番号で』
「それもそうか」
『まだ半月ぶりほどですけどね』
俺は一人納得しつつ汗を拭う。日課である夜のジョギングから戻ったばかりで、年末だというのに身体が熱い。これから筋トレもしなくては。
『お名前は？』
「は？」
『お名前ですよ。前回聞きそびれました』
しらじらしいな。好きに呼べよと言いたくなったが、いやいやと思い直す。これはホットダイヤル。きっと匿名なのだろう。俺はここだけのユーザーネームを考える。
「ラビット」
『なるほど。ラビットさんですね』
何がなるほどなんだよ。
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