39人が本棚に入れています
本棚に追加
/18ページ
「この人形はこちらで供養するが、それでいいかな?」
住職は野島に聞く。
「はい。今さらご遺族に、燃え残っていたとお返しするわけにもいきませんし、ご供養をお願いいたします」
野島はそう言って頭を下げ、人形を置いて帰って行った。
その夜、寺に何者かが侵入した。
供養を待つ膨大な人形が飾られた部屋に侵入し、昼間預けられたあの人形だけを盗んで行った。
翌朝、人形がないことに気づいた住職が清矢と防犯カメラを確認すると、人形を預けに来た野島本人が犯人だった。
「野島は預けたばかりの人形を、なぜ盗みに来たのか?」
住職が問う。
「人形に操られたんでしょう。おそらく野島さんは、昨夜のことを何も覚えていないはずです」
案の定、住職が野島に電話すると、夜、寺に侵入したことも、人形をどうしたかも覚えていなかった。
「小さな人形に宿った魂、七回忌位が限度でしょう」
清矢は不可解なことを言った。
「しかし、どんな悪戯をするかもわからん。探してみるか」
住職が言う。
「そうですね。ただ、しーちゃんの想いは強いようなので、見つかるかどうか」
清矢は答えた。
最初のコメントを投稿しよう!