使命

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「しーちゃん、もう時間がないよ」  清矢は言った。 「どうしてここがわかったの?」  志帆子は尋ねた。 「今年、紬ちゃんの中学に赴任した友人から、人形に追われて二階から飛び降りた牧野梨華の話を聞いたんだ。相談されて調べていたら、しーちゃん、君に行きついた」  清矢はそれから、悲しそうな目で志帆子を見た。 「君は家族を守るために、やり過ぎてしまったんだよ。それに人の形を保つのも限界だろう。いつか家族に人形だとバレてしまうよ」  わかっていた。でも、もう一つやらなければならないことがあった。 「あと一日だけ、待ってもらえませんか? 明日の朝、お寺に帰ります」  志帆子が頼むと、青年は肯いて帰って行った。  夕方、志帆子は陸の帰りを待っていた。  またいじめられていないだろうか? 怪我をしていないだろうか? もし何かあったら、今夜……。 「ただいまーー!」  元気よく陸が帰ってきた。 「母さん、僕、健斗君と友達になった」  嬉しそうに陸は言う。 「えっ?」   「この前のお兄ちゃんが学校の前で待っていて、僕と健斗君に話し合いさせてくれたんだ。健斗君は最初は聞こうとしなかったけれど、お兄ちゃんが怖い話をしたら、握手できた」
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