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清矢はこれ以上陸をいじめたら、呪ってやるとお札を出して脅かしたらしい。
「そのお札を健斗君の額に貼ると、健斗君、おばけが見えるようになっちゃうんだ。これからもいじめを続けるなら、一生おばけが見えるようにしてやるぞって、お兄ちゃんすごく怖かったよ。最後は健斗君泣き出して、僕ももうやめてあげてって泣いて、それで仲良くなったんだ」
子供相手に何してるんだと志帆子は呆れたが、自分も梨華に似たようなことを、いやそれ以上に酷いことをしたのだ。
この子達は立派に成長した。
私がいなくても大丈夫なのかもしれないと、志帆子は思った。
その日の夕飯は、家族四人で囲む最後の晩餐だった。失敗しないよう、レシピ通りに調味料は計って作った。
「おいしーー!」
「やっぱりママの料理は最高だな」
「お替りしていい?」
――皆の喜ぶ顔を忘れない、こちらこそありがとう。幸せでした――
志帆子は微笑んだ。
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