使命

3/3
39人が本棚に入れています
本棚に追加
/18ページ
 清矢はこれ以上陸をいじめたら、呪ってやるとお札を出して脅かしたらしい。 「そのお札を健斗君の額に貼ると、健斗君、おばけが見えるようになっちゃうんだ。これからもいじめを続けるなら、一生おばけが見えるようにしてやるぞって、お兄ちゃんすごく怖かったよ。最後は健斗君泣き出して、僕ももうやめてあげてって泣いて、それで仲良くなったんだ」  子供相手に何してるんだと志帆子は呆れたが、自分も梨華に似たようなことを、いやそれ以上に酷いことをしたのだ。  この子達は立派に成長した。  私がいなくても大丈夫なのかもしれないと、志帆子は思った。  その日の夕飯は、家族四人で囲む最後の晩餐だった。失敗しないよう、レシピ通りに調味料は計って作った。 「おいしーー!」 「やっぱりママの料理は最高だな」 「お替りしていい?」    ――皆の喜ぶ顔を忘れない、こちらこそありがとう。幸せでした――  志帆子は微笑んだ。
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!