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 事の発端は、サークルの同期のグループチャットに久しぶりにメッセージが届いていたことだった。 《同窓会をしませんか?》  その一言から始まったチャットに気が付いたのは、残業が終わった22時過ぎだった。既に他の同期が反応しているのか、通知が何件か溜まっていた。  ずっと息を吹き返すのを待っていた。私の青春がつまったチャット。    大学を卒業してからほとんど動いていなかったが、大学時代はお互いの写真を送り合ったり、気軽に会話したりと通知が鳴りやまない日はないほど活発に動いていた。  それが嘘かのように卒業してからはそれぞれが忙しくなり、段々と連絡の頻度が減っていった。消えない思い出が沢山つまったグループチャットは、気づけばチャット履歴の下の方にポツンと置かれていた。  使わなくなったグループはしばらく動かなかったら抜ける。それが私だ。  高校のクラスのグループも卒業してしばらくしたら抜けたし、サークルの全体グループも抜けた。  けれど何となくこのグループだけは残しておいた。多分、あの時が一番楽しい時間だったからだと思う。  抜けて思い出が消えてなくなるのが嫌だったのだ。私にとっての最初で最後の青春だから、大事に取っておきたかったのだと思う。  別に抜けても思い出は消えないのに。多分、形に残しておきたかったのだと思う。  リーダーと呼ばれていた男の子の提案に、既読している何人かが賛成のスタンプやリアクションをしていた。 「同窓会、か……」
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