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恋愛でのゴタゴタを防ぐためにも、全員が近い距離にいるサークルでの恋愛は禁止。
サークルでできた男友達はみんな恋愛対象外。男友達だ。
だから霜馬は男友達だ。
決して、「恋愛的に好き」ではない。これっぽっちも。
それはきっと、向こうもだ。そう信じていたのに。
「俺さ、菜月のこと──」
「あ!」
私は遮るように空を指差した。東京にしては珍しく星がよく見える夜だった。
それが答えだった。その先を言わないで、という。
「今日、星めっちゃ綺麗じゃない?」
私は霜馬の方を怖くて見れなかった。霜馬からの反応はない。
「うん、そうだね」
霜馬から返事が聞こえて、私はやっと霜馬を見た。彼は笑っていた。でもその瞳には傷が見えた。
あ、傷つけた。
でも、「ごめん遮って」と言える勇気は私にはなかった。
そんな勇気、臆病な私にはない。
ごめんね、霜馬。でもこれが最適解だと思うんだ。
私は心の中でそう話しかける。
それからしばらくして霜馬に彼女ができた。私にも彼氏ができた。
大学生なんてそんなものだ。
この気持ちもいつか忘れる。時間が経てば、きっと。
私は正しい。あれは間違いじゃない。
そう、信じたかった。
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