3

3/3
8人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ
 恋愛でのゴタゴタを防ぐためにも、全員が近い距離にいるサークルでの恋愛は禁止。  サークルでできた男友達はみんな恋愛対象外。男友達だ。  だから霜馬は男友達だ。  決して、「恋愛的に好き」ではない。これっぽっちも。  それはきっと、向こうもだ。そう信じていたのに。 「俺さ、菜月のこと──」 「あ!」  私は遮るように空を指差した。東京にしては珍しく星がよく見える夜だった。  それが答えだった。その先を言わないで、という。 「今日、星めっちゃ綺麗じゃない?」  私は霜馬の方を怖くて見れなかった。霜馬からの反応はない。 「うん、そうだね」  霜馬から返事が聞こえて、私はやっと霜馬を見た。彼は笑っていた。でもその瞳には傷が見えた。  あ、傷つけた。  でも、「ごめん遮って」と言える勇気は私にはなかった。  そんな勇気、臆病な私にはない。  ごめんね、霜馬。でもこれが最適解だと思うんだ。  私は心の中でそう話しかける。  それからしばらくして霜馬に彼女ができた。私にも彼氏ができた。  大学生なんてそんなものだ。  この気持ちもいつか忘れる。時間が経てば、きっと。  私は正しい。あれは間違いじゃない。  そう、信じたかった。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!