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「家族のスマホと間違えるって、ふつー、そんなことある?」
隣の席――葉っぱの反対側で、同じ制服の女子がこっちに目線だけ投げてきた。
手の中には手帳型ケースに身を包んだスマートフォンが収まり、話しながらも画面をタップする指は止まらない。
同じクラスの四季だ。
「それが、現に、事件は起きているわけ」
わたしは無念をこめて、口をへの字、眉をハの字にする。
「あははー、顔おもろい」
「わたしは深刻なんだ」
「ごめんごめん」
四季は悪びれた風もなく言った。
「けどさ、スマホケースとか、ロック画面とか、気が付く要素いっぱいある気がするんよ」
「それがだな」
ちちち、と指を立てる。
「わたしと月野は、スマホにおいて、好みが一致しているんだ。シンプル至上主義。つまり、ノースマホケース、ロック画面は初期設定。でっ、スマホを買ってもらったタイミングも一緒。イコール、機種も一緒ってわけ」
「なるほどぉ」
「まさかこんな悲劇が起きようとは」
「アハ、でもなんか、意外な共通点だなぁ! だって、星野っちと月野っちって、全然キャラ違うのに」
四季が言うのももっともで、わたし――星野と、双子の妹・月野は何から何まで正反対だ。
性格はもちろん、顔もあんまり似ていない、と思う。
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