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「うーん……」
スマートフォンを置き、改めて鏡をみる。櫛を通しただけのボサボサのロングヘアが目についた。
――ここまで来たら、髪も整えよう。
月野みたいな、ふわふわの巻き毛をイメージする。
月野のヘアアイロンを借り、鏡の前で第二グラウンド開始。
もちろん、無料動画サイトの美容系チャンネルが先生だ。
「これ、結構ムズい……」
なんか熱いし、重たいし。
音をあげかけたところに、今度はお母さんからの着信が入った。
月野、ついに目覚めたか。
吉報を期待して、スマートフォンに飛びつくわたし。
「はい、もしもし!」
ところが、お母さんのテンションは低い。
『……星野、あれから学校休んでるんだって?』
わたしは思いっきり肩を落とす。
期待外れな上、ずる休みがばれていたなんて。
「うん、まあ」
落胆を隠して応答するわたし。
右手はヘアアイロンとの格闘を再開する。
『月野のことは大丈夫だから、あんたは気にしなくてもいいのよ』
大丈夫なら、とっくに帰ってきてるはずだろう。
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