from:まほ

3/4
前へ
/31ページ
次へ
「うーん……」  スマートフォンを置き、改めて鏡をみる。櫛を通しただけのボサボサのロングヘアが目についた。  ――ここまで来たら、髪も整えよう。  月野みたいな、ふわふわの巻き毛をイメージする。  月野のヘアアイロンを借り、鏡の前で第二グラウンド開始。  もちろん、無料動画サイトの美容系チャンネルが先生だ。 「これ、結構ムズい……」  なんか熱いし、重たいし。  音をあげかけたところに、今度はお母さんからの着信が入った。  月野、ついに目覚めたか。  吉報を期待して、スマートフォンに飛びつくわたし。 「はい、もしもし!」  ところが、お母さんのテンションは低い。 『……星野、あれから学校休んでるんだって?』  わたしは思いっきり肩を落とす。  期待外れな上、ずる休みがばれていたなんて。 「うん、まあ」  落胆を隠して応答するわたし。  右手はヘアアイロンとの格闘を再開する。 『月野のことは大丈夫だから、あんたは気にしなくてもいいのよ』  大丈夫なら、とっくに帰ってきてるはずだろう。
/31ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加